山路洋平君の遺作「青春ノスタルジア」物語~大阪稲門60周年記念演奏会アンコールで演奏

大阪稲グリ60周年記念演奏会は坪井秀夫会長(S28卒)を筆頭に、須賀敬一(S30卒)、山本健二(S31卒)らワセグリOBのレジェンドら多数がオンステ、さらにボニージャックスに加えて、新月会、クローバークラブ、関西慶応ワグネルOBの面々も友情出演するというものすごい内容で無事終了しました。東京からは最年長の私を含め30名、仙台、名古屋からも3名が参加しました。

文字通り大阪稲グリが誇る抜群の企画力がフルに発揮された演奏会で、私も本当に良い時間を過ごしました。打ち上げで思わず「70周年にまたきます!」と挨拶しましたが、考えたら93歳。これは無理ですよね。

 この演奏会のアンコールで、第3ステージ「歌い続けて60年」の演出を担当する筈だった山路洋平君(S32卒・昨年12月29死去)作詞の「青春ノスタルジア」を演奏し、感動を呼びました。昨年の山本健二リサイタルに出演したS31年卒同期「サウンド友」の為に作られ、会場を大いに沸かせた楽しい作品です。

 「サウンド友」は同期の作曲家・鈴木淳君と山路君のコンビで作られた「ひとりモノローグ」を愛唱歌にしていました。1979年の第16回稲門グリークラブ定演のために誕生した作品で、ソロを担当した岡村喬生氏(29年卒)が朗々と「俺の方が十八も歳上、嫁に来いとは言えない・・・」と歌って旋風を巻き起こしました。OB会が生んだ幻の名曲で、「サウンド友」ではもちろん山本健二君が、やはり朗々とソロを担当し続けてきました。

 「サウンド友」が山本健二リサイタルに3度目の出演が決まった時、メンバー全員から「鈴木よ、そろそろ我々の年齢に相応しい新作を書いてくれよ。当時の四十男は今や八十男だ。詞はやはり山路がいいぜ」と半ば強制的に依頼。こうなると超多忙な鈴木君も「ノー」とは言えません。豊中在住の山路君と何度も電話連絡を繰り返しながら、遂に本番2ヶ月前に完成してくれました。

いつの間にか 歳をとって 髪の毛も薄くなった でも僕らの仲間は くたばらないぜ 体操だってウォーキングだって オイッチ ニ サン(フー) ラララ美人がこっちやってくる 俺の好みの お前好みの髪の長い女のコ キタキタキタキタ!”おじいちゃーん 何やってんの?” ラララ気が付きゃこのコは、俺の孫だった

 2番は老人コーラスの練習と練習後のビールの話がテーマですがここでも気になる女が出てきます。高齢男の友情とロマンと、ちょっぴり興奮する姿を描いたこの詞に鈴木君が絶妙の曲を付け、80代OBを象徴する作品になりました。

 今回の大阪演奏会で山路君追悼企画を考えていると聞き、実行委員長で急遽演出も担当することになった鎌田龍児君(S35卒)に、「こんな曲があるよ」と伝えました。彼は時間的に極めて厳しい中、演奏を決意しました。この日も初演と同じくソロを山本健二君、台詞を私が担当しました。

 山路君の如何にも彼らしいユーモアと計算し尽くされた演出力に満ちた遺作を歌い、楽しく彼を追悼できたことは本当に嬉しかったが、不覚にも涙を少し流してしまいました。

(徳田浩)