66年続いている伝統の重み! 東京六連定演、合同「永訣の朝」を感動的名演、今年のワセグリも凄いぞ!!

第1回六連(昭和27年・日比谷公会堂)に出演した私にとって、今年も芸劇が満員になる隆盛が続いていることに感動を覚えた。長い歴史を誇る法政アリオンが復活したことも嬉しかった。
前半は東大コールアカデミー22名による「イザークの四つのモテット」、法政アリオンはパンフ掲載より多い10名(OBも出演したか?)がピアノ・ベース・パーカッションのトリオと共に「A Little Jazz Mass」をなかなかいいムードで演奏、明治グリーは29名で佐藤賢太郎作曲指揮の「フェニックス」。オンステ数は少ないが、それぞれが今出来る最高の演奏をした。満員の芸劇で演奏する伝統の六連にかける思いがビンビン伝わってきた。
後半、まず慶応ワグネル43名による「シベリウス男声合唱曲を歌う」に度肝を抜かれた。見事に統一された発声による音楽作りとフィンランド語全7曲暗譜という練習量の豊かさはさすが。続く立教グリーは私の大好きな「方舟」(木下牧子作曲)を27名でブラボーな演奏。この辺りで私はかなり満足していたが、いよいよトリを飾る早稲田グリー56名が登場した。
今年の「ブレイブ・ストーリー」は、宮部みゆきの人気原作を川井憲次氏に委嘱した文字通リ異色作品。照明も工夫しながら台詞入りで物語が進行する構成だが、美しいメロディーとハーモニーが洪水のように続き、私の中で楽しさと感動が交錯した。学指揮の中島龍之介君が長年温めていたという企画が見事に結実した。今年の現役はどのパートも粒揃いのようで、とりわけトップの輝きとベースの鳴りは格別だった。
この演奏会は順位を付けないことにしているが、やはり、6月に四連に出演する早慶が、この日の演奏曲は全く対照的ながら人数的にも力量的にも伯仲。四連では早稲田が北東欧の作品を歌い、逆に慶応が高田三郎作品を歌う。楽しみが倍増する。


今年の圧巻は合同演奏「永訣の朝」で、160余名の心が見事に一つになった感動的名演だった。宮沢賢治の慟哭の詩に西村朗が狂気にも似た思いを込めて作曲した名曲で、合同でこれだけの演奏が出来たのは凄い(指揮:雨森文也)。アンコールの「雨」には泣けた。情感豊かな見事なソロの美声が今も脳裏に焼き付いている。(徳)

〈第66回東京六大学合唱連盟定期演奏会 2017年5月6日(土)東京芸術劇場コンサートホール〉