バルト3国建国100周年祭、盛大に~ 2つの合唱団で出演

佐藤 拓(H15卒)

バルト3国の建国100周年を祝うフェスティバル(主催:リガ・コレクション)が2月16日、めぐろパーシモン小ホールで開催された。当日はリトアニアの独立記念日とも重なり、エストニア、ラトヴィア、リトアニアの3国の駐日大使も勢ぞろいするなど格式高いイベントとなった。

バルト3国の建国はいずれも1918年で、今年は101年目にあたるが、そのうちの半分近い時期を旧ソ連の統治下におかれた苦難と激動の100年でもあった。日本から遠く離れたユーラシア大陸の対岸にあるこの国々に対して、音楽、文化、食、歴史など様々な視点から関心を寄せる日本人が増えてきている。この日も会場は文字通り、すし詰めの大盛況であった。なんでもホール定員をオーバーしそうになり、消防からの忠告で入場制限まで行われたそうである。

筆者は2つの合唱団の指揮者として参加した。一つは昨年春に立ち上げたばかりの、バルト3国の合唱音楽を専門に歌う団体「Baltu」で、オープニングに3国それぞれの第2国歌ともいうべき作品を演奏した。結成して1年にも満たない合唱団に開幕の演奏を託してくださった主催者の思い切った判断には、ただ感謝の念しかない。

オープニングを飾った「Baltu」の演奏

その後、日本エストニア友好協会による映像を使ったプレゼンテーションがあり、続いて日本ラトビア音楽協会合唱団「ガイスマ」によるステージを指揮した。ピアノの風呂本佳苗さん、フルートの高市紀子さん、ソプラノの坂本雅子さんを迎えて、合唱のほかにもソロ曲を交えながら、昨夏参加したラトヴィアの「歌と踊りの祭典」を想起させるようなプログラムとなった。客席は満席となって立ち見客で溢れ、好評を博した。

フルートやソプラノも加わった日本ラトビア音楽協会合唱団「ガイスマ」のステージ

最後には日本リトアニア友好協会が、杉原千畝の半生を題材としたオペラ「人道の桜」(作曲:安藤由布樹)を上演した。短縮版ではあったが、主演の女屋哲郎さんをはじめキャストの熱演で、深い感動を呼び起こしていた。

およそ5時間にわたるフェスティバルの最後のロビーパーティーでは、リトアニア大使寄贈のワインが振る舞われた。会場は最後まで賑やかさを失うことなく、熱気に包まれたまま幕を閉じた。