第67回東京六大学合唱連盟定期演奏会が5月5日、東京・後楽園の文京シビックホール大ホールで開催された。早稲田大学グリークラブは「スポーツソング流声群!~ワセグリ大運動会、開幕~」と題して、時代を彩った数々のスポーツソングを歌い上げ、聴衆から大きな拍手喝采を受けた。
早稲田は6校の中で最多の53人がオンステした。「文化系大学生がおくる、超体育会系ステージ」と銘打ち、スポーツにまつわる有名な曲の数々を、気鋭の作曲家、堀内貴晃氏がメドレーに編曲。学生指揮者の田中渉さん(4年)の指揮、前田勝則氏のピアノで演奏した。
ラジオ体操から始まり、プロ野球の巨人「闘魂こめて」と阪神「六甲おろし」、往年のバレーボールアニメ「アタック№1」へと展開。三波春夫の「世界の国からこんにちは」(1970年)、爆風スランプ「ランナー」(88年)、ZARD「負けないで」(93年)、星野源「恋」(2017年)など、各時代の熱気を伝えるヒット曲を、躍動感豊かに歌い継いだ。そして、サッカー日本代表の応援歌、表彰式で演奏される「見よ、勇者は帰る」(ヘンデル)でドラマチックに締めくくった。
合同ステージは上西一郎氏の指揮、平林知子氏のピアノで、男声合唱とピアノのための「ゆうやけの歌」を演奏。総勢約180人の声がホールいっぱいに響き渡った。
現役グリーは6月24日(日)、第67回東西四大学合唱演奏会(京都コンサートホール大ホール)に臨み、小久保大輔氏の指揮、清水新氏のピアノで男声合唱曲「岬の墓」を演奏する。
繊細さと躍動 変幻自在 送別とのギャップ楽しむ
ワセグリの六連といえば、エンターテイメント性あふれるステージで観客を沸かせるのが近年の恒例となっております。今年の六連も、ワセグリは演出で観客を楽しませてくれました。
オンステメンバー全員でのラジオ体操でスタートし、その後も学指揮の田中渉君のパフォーマンス溢れる指揮、思いがけないソロなどで観客を沸かせていました。
今回の演奏で私が感じたのは、2月に開催された送別演奏会とのギャップです。私は送別演奏会でも演奏を聴かせていただいたのですが、その時の演奏は正確なピッチで和音を決めていく繊細な曲作りのイメージが強いものでした。それはそれで、とても良いステージだったのですが、そこからは「超体育会系」な演奏はあまりイメージできなかったのです。
しかし、六連は違いました。今回のステージで一番印象に残っているのは、アイーダの「凱旋行進曲」です。この曲は全て「オ」のボカリーズで構成されていました。オンステメンバー全員が全身を使って「オ」と高らかに歌い上げており、この歌声はホールに大きく響き渡っていました。
特に、ベース系にとってはそれなりに高めの音域となっていたはずですが、それを感じさせない堂々とした歌いっぷり。まさに「超体育会系」です。
今年の現役は、繊細な曲から超体育会系な曲まで歌いこなせる、変幻自在の代です。ひとつ残念だったのは、合同演奏「ゆうやけの歌」のソロをほとんど慶應に取られていたこと。個々人の声はまだまだ磨く余地があるということでしょう。今後に期待したいです。
四連、定期演奏会と、次はどんな姿を見せてくれるのでしょうか。今から楽しみです。
加藤 翼(H24卒)