2018年度学生指揮者 田中 渉(新OB)
仕事納めの日にもかかわらず、すみだトリフォニーホールが満員になるとは……。昨年12月の定期演奏会に、遠方から、またはお仕事のお休みを取って、中には現役からのメールを見てお越しいただいた方も多くいらっしゃると存じます。心より感謝申し上げます。
今年度は「ワセダの幅を広げる」ことに注力してきました。送別演奏会では日本でほとんど演奏歴のないシュローネンの作品を演奏しました。単なる暗唱ではなく、譜面の「意図」を可能な限り取り込み、アウトプットするという流れの定着が、他の演奏会によく活きていたと感じています。
そして六連ではエンターテイメント、四連では「岬の墓」と、時間軸、振り幅ともに様々なことに取り組み、時に客演の先生方に導かれ、良い音楽を創りあげることができました。
その集大成となる定期演奏会は、燃焼度はかなり高いものであったと感じています。基底は同じでも、各ステージで全く異なる方向性。第2ステージは和楽器とのコラボというかつてない取り組みで、「再演されないくらい凄い作品を」とお願いしたところ、皆ビックリの難易度でした。音楽という生き物に対する団員の必死の足掻きが良い演奏に繋がったと思います。
そして「炎える母」。長編詩を読むたびに胸が締めつけられ、生半可な気持ちで演奏してはならないとの決意で取り組みました。
我々は次の送別演奏会で完全に卒団するわけですが、最も現役に近いOBとして一言だけ現役に言わせてもらうと「グリークラブに真面目であり続けてほしい」と思います。徐々に団員数が減少していくなか、他にやることもありながら仕事をこなしていくのは大変です。時には失敗もあるでしょう。でも成功のために全員がもうひと踏ん張り出来る、または周りをそうさせられると、組織としてもっと強くなれると思います。それが上手くいかない時、八つ当たりなんてもっての外。ひたすら足掻け!
この4年間は最高の4年間でした。改めてお力添えいただいた方々に御礼申し上げます。今年の現役はどうなるでしょうか……。私も期待を胸に、北の大地から見守ることとします。