関西大学混声合唱団ひびきOGで、夫は大阪大学男声合唱団OBです。1991年の第40回東西四連を聴いて以来、ずっと男声合唱が大好きです。この10年ほどは「お江戸コラリアーず」の大ファンで、作曲家の信長貴富さんを推しています。
大学時代、関西合唱連盟の高野山合宿に参加し、ワセグリOBの須賀敬一先生(S30卒)、藤野充先生(S40卒)にお世話になりました。お二人がまいてくださった種のお蔭で、今も合唱を続けられています。
2017年10月、日本経済新聞に信長さんのインタビュー記事が連載されました。嬉しくて担当記者に手紙を出したところ、何と記者はワセグリOBでした! 以来、ワセグリがぐっと身近になり、過去の音源を何度も聴いています。委嘱・男声版初演が多いことを知り、時にアカペラの名演もあり、これまでの気炎万丈、怒涛のff(フォルテシモ)の印象がちょっぴり変わりました。周りを圧倒するようなffは面白く、男声の醍醐味の一つでしょう。けれども、疎外感、距離感を覚えます。会場を温かく包み込むような慈愛あふれるffも期待しています。
卒業して四半世紀。器楽曲、美術、文学、能などに触れてきて、「縄文」「王孫不帰」「御誦」に改めて感ずる私がいます。ワセグリも男声合唱という枠に閉じこもらずに、様々な芸術を体験していただきたいと思います。
話は戻りますが、信長さんの作品には音楽の素晴らしさ、楽しさを教えてくれる引き出しがたくさんあります。作曲を委嘱する合唱団に合わせて、オーダーメードの服を作るテーラー、極上のもてなしをする茶会の亭主のように、聴き手も幸せになる時空間をつくってくれます。今年出版される混声合唱曲「静寂のスペクトラム」はお薦めです。
現役もOBも活気あるワセグリが、信長さんの作品を丁寧に歌い、名演を残してほしいと思います。そして、国内外に男声合唱の魅力を伝えてください。
(京都府福知山市出身)