指揮者の堀俊輔さん(S50卒)が9月7日、オペラ「トゥーランドット」を演奏会形式で全曲演奏しました。堀さんの渾身の指揮に観客は圧倒され、怒涛のブラボーコールと拍手の嵐が起きました。
ミューザ川崎シンフォニーホールが沸きに沸きました。毎年大曲に挑戦する合唱団「アニモKAWASAKI」の第18回演奏会で、堀さんが企画した今回の演目は、
アリア「誰も寝てはならぬ」であまりにも有名なプッチーニの傑作オペラです。
まず、合唱を熟知する堀さんが徹底的に鍛えた合唱団のパワーに圧倒されました。この作品は合唱が重要な役割を担い、だからこそ堀さんがこの作品を取り上げたと思いますが、それでも通常の公演では人数の少ないプロの合唱団があくまでも脇役で歌います。
今回は合唱団を主役のように歌わせた企画力は本当に見事でした。さらにオケピットではなく、ステージ上で演奏する東京交響楽団は、水を得た魚のように素晴らしい音を鳴らしました。大合唱と共にもの凄い迫力でした。ソリストの声がかき消される場面もありましたが、これはやむをえません。
オペラはよく観ますが、正直なところ、ソリストだけが印象に残ります。今回は違いました。「トゥーランドット」は視覚に大きな要素がある作品ですが、演奏会形式でプッチーニの魅力を完璧に聴衆に伝えました。ソリスト8人、140人を超える少年少女を含む合唱団、知り尽くした東響を、堀さんの棒が完全燃焼させ、躍動させました。
この日は、ワセグリOB会元会長の安斎真治さん(S47卒、堀さんの3年先輩)と並びの席で聴きました。現役学指揮時代から伝説を残し、稲門グリークラブの演奏会・海外演奏旅行などでも大きな貢献をしてくれた堀さんは、まさにワセグリが生んだ巨星・怪物。彼のような後輩がいることを、お互いに心から誇らしく感じました。
徳田 浩(S31卒)