バリトン歌手で早稲田大学グリークラブのヴォイストレーナーを務めている和田ひできさん(H04卒)が10月13日、東京・小石川のトッパンホールで開いた歌劇「真珠とり」(全3幕)のコンサート形式の演奏会に出演しました。和田さんは重要な脇役「ズルガ」役で見事な歌声を披露し、主役に劣らぬ存在感を示しました。
「真珠とり」はビゼーが作曲した「カルメン」に次ぐ人気オペラで、テノールの「耳に残る君の歌声」、テノールとバリトンの二重唱「神殿の奥深く」など多くの有名なアリアがあります。稲門グリークラブも2006年のOB六連で演奏し、和田さんに歌唱指導を受け、一緒にオンステしてもらいました。
今回の演奏会は安藤敬氏の指揮で、ヒロインのレイラを籔田瑞穂(ソプラノ)、ナディールを松尾順二(テノール)、ヌーラバッドを中原和人(バリトン)の各氏が歌いました。このほかピアノも含めて6人の管弦楽ユニット、テアトロ・フィガロ合唱団が出演。コンサート形式ながら、歌い手に演技の振付を付けて上演しました。
さらにオペラの字幕・台本翻訳でも活躍する和田さんが翻訳した日本語の字幕もステージに投影して、聴衆にわかりやすく歌を聴かせる工夫をしていました。
和田さんの歌うズルガは、セイロン島の真珠採りの頭領で、かつて巫女のレイラを巡って恋敵となったナディールと真の友情を誓います。そこに真珠採りの安全を祈る尼僧としてレイラが島を訪れ、ナディールとの恋が再燃。禁断の恋に怒ったズルガは2人に死刑を宣告しますが、処刑直前に身を挺して2人を逃がします。
和田さんはズルガの頭領としての威厳と男気を豊かな声量で表現し、第3幕での独唱とレイラとの二重唱ではズルガの内面に潜む苦悩と繊細さを表情豊かに歌い上げて、終演後にひときわ大きな拍手を受けました。
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和田さんの今後の出演予定は、11月12日の「シャンソン・フランセーズ8」(渋谷区文化総合センター大和田 伝承ホール、19時開演、全席自由3600円)、11月27日の「レハール『メリー・ウィドウ』ハイライト上演」(原宿 ラ・ブーレット、18時10分からディナー付き7500円)。
12月13、14日には明治座で開かれる邦楽ミュージカル「三人娘★恋仇討」(脚本:中屋敷法仁 作曲:篠原真 演出:倉迫康史)に出演します。13日は19時、14日は15時開演で、S席4000円、A席3000円。以下、和田さんからの紹介です。
「邦楽ミュージカルは洗足学園音楽大学が2011年から制作している、邦楽器がポピュラーのバンドとともに演奏し、題材は江戸時代を背景にしたシリーズで、人気作家の中屋敷氏など同スタッフで毎年上演してます。昨年2月には前作「夏花火♡恋名残」が新橋演舞場で上演されました。学生も出てますが、洗足音大の先生も大挙出演し、随所にプロを使っているのでレベルが高く大変面白いです。なお、和田は全然歌いません。踊りません。ほぼ芝居のみ。盲目の音楽の達人、3代目藪原検校を演じます」