早稲田大学グリークラブは10月4日、2年生部員18人が練習系やマネージャーの役職に就く「就任式」を奉仕園で開いた。その後、役職別の飲み会となり、若手OBも加わって夜通しで騒いで盛り上がった。
意気込んだ挨拶、無茶振りの洗礼
2021年度部長 大野 柊(2年)
就任式は、私(筆者)を除く2年生のグリーメンが一斉に入場するところからスタートした。学生指揮者から順に自己紹介を行い、最後に就任する役職を告げた。中には意気込んで張り裂けんばかりの大声を上げる者もいた。
司会が就任式の報告を終えたかに見えたその時、私は奉仕園のドアを開けた。「ちょっと待った!」、スーツに身を包んだ私は叫んだ。グリーメンの一瞬の驚きと歓迎の笑みを確認しながらステージの前に進む。
「ちゅす、早稲田大学高等学院出身!早稲田大学創造理工学部環境資源工学科所属!グリークラブにおきましては華の!華の!華の!第114代部長兼DMマネージャーを務めさせていただきます、姓を大野、名を柊と申します! 以後、お見知り置きを!」
緊張と焦りを感じつつも、温かい拍手が湧き上がった。すると、唐突に別の声が次々に飛んできた。「何かやれ!」「何かやれ!」。何と、即興でモノマネをしろとの無茶振りが飛んできたのだ。上海演奏旅行で出会った乞食、支離滅裂な発言をする環境相などのネタを披露し、会場は微妙な雰囲気に包まれた。
さて、2021年度部長就任にあたり、ここに明記したい抱負がある。それは
何が何でもフルオンステして、笑顔で卒団する!
先生方との付き合いやこれからの業務に不安は尽きない。しかし、グリークラブを代表する人間として精進し続ける所存である。
経験伝えて激励、意志力育む装置
小林 昌司(H29卒)
ここ最近、練習系の就任式の二次会は合同で朝まで行っている。今回、二次会まで参加したOBは、元学指揮で佐藤拓さん(H15卒)、熊崎陽一さん(H22卒)、東松寛之さん(H24卒)、久島知希さん(H25卒)、私と同期の元セカンドパートリーダーの奥村恒(H29卒)の計6人。今年は久島さんと私だけが最後まで残った。
朝までの時間をどうするか、現役に大量に料理を食べさせる。この発想は現役時代から変わらないなといつも思う。今年はステーキやガーリックライス、ケーキを大量に注文した。ある年はロールキャベツに卓を埋め尽くされたこともある。現役は次々と来る注文に度肝を抜かれながらも必死に頬張って、平らげていた。食べ終わると襲ってくるのは睡魔。結局半数近くは耐えかねて、写真のように死屍累々たるありさまになった。
さて、この二次会では毎回現役の想いが聞けて面白い。特に就任したばかりの孫サブとの話は新鮮だ。「あんな曲をやりたい」「昔のあの代のステージに憧れています」などと目を輝かせて語る者もいれば、逆に「正直、合唱に興味がないが、同期のために」と就任した者もいる。それに対してOBは自分の現役時代の経験を元に現役の話に応えている。
持論だが、練習系に求められるのは意志力だと思う。素人が形のない「歌」で人を感動させるのは容易なことではない。ましてや合唱には華もない。だからこそ「WHY=なぜ我々は歌うのか」という目的が重要だ。そして練習系はその目的を明らかにし、団員全体に浸透させることが使命である。それには必ずこうやりたいという意志力が必要。近年の就任式の二次会は、先輩の話や自分が話をすることを通じて、そんな大切な意志力を育む装置になっていると思う。今年は最後まで見守れた。今後も新しいリーダーたちの動向を見守っていきたい。