プロ野球・埼玉西武ライオンズの飯田光男球団本部長(H01卒)は、鉄道マンから球団経営にかかわり、西武は2018年から2年連続でパ・リーグ優勝を成し遂げた。飯田さんは選手やスタッフを束ね、「育てて勝つ」野球で最強軍団を目指している。
ーー学生時代から西武新宿線の駅でアルバイトをしていました。
「グリークラブの活動をしていると、なかなかなバイトができませんでした。大学3年から、下宿の近くの鷺ノ宮駅で朝の通勤ラッシュ対応のバイトをして、満員電車に乗る乗客を補助する仕事をしていました」
「当時、ライオンズは石毛宏典、辻発彦、秋山幸二、工藤公康らがいて、第1期黄金時代でした。でも西武鉄道に入社して、まさか野球の仕事ができるとは思いませんでした。今は渡辺久信ゼネラルマネジャー(GM)、辻監督、松井稼頭央さん、潮崎哲也さんら、昔憧れた選手と一緒に仕事をしていて、不思議な気分です」
「スポーツは言葉で表せない力、勇気を与えてくれます。チームが勝つと、球場全体が盛り上がり、お客様はいい顔で帰っていきます。選手の素晴らしいパフォーマンスは、トレーナーやスコアラー、スカウトなど多くのスタッフに支えられています。表に出ないつらい仕事もありますが、結果がはっきり出ることにやりがいを感じています」
「18年に10年ぶりにリーグ優勝し、19年に連覇できた時の感慨はひとしおでした。でも2年続けて日本一にはなれませんでした。今年こそは日本一を目指していこうと思っています」
「NPB(日本野球機構)の仕事もしていて、最近ではビデオ判定のリクエスト制導入、投手の二段モーションの解禁などにかかわりました」
ーー西武は毎年、有力選手が流出しながら、リーグ優勝するなど常に結果を出しています。
「浅村栄斗、秋山翔吾、炭谷銀仁朗らを、渡辺GMとともに引き留めをしました。彼らが出て行ったのはつらかったですが、個々の選手に頼りすぎず、どんな選手がいなくなっても、『育てて勝つ』強いチームをつくり上げるのが、私とGMの仕事です」
「今季、秋山が抜けても、12球団一の最強打線を維持していきます。投手陣はここ数年苦しんできましたが、高橋光成、松本航、今井達也ら若い芽が育ってきています。若い投手陣にもぜひ注目してください」
ーーグリーでは内政マネージャーで、多くの部員に慕われました。
「私の場合、先輩に恵まれました。『下手くそ!』とボールペンを投げつけられるほど厳しく指導されたり、下宿でファミコンをやりながら再オーディションを受けたりと、本当にかわいがってもらいました」
「グリーも野球も、皆が同じ目標に向かって突き進みます。一人ひとりが自分に与えられた役割を果たしながら、スクラムを組んで、一瞬、一瞬の爆発力を生み出していきます。西武ではファンとともに戦う『WE ARE ONE』を掲げています。ワセグリも演奏会で、メンバーと観客が一体となって、素晴らしい時空間を共有できるものをつくっていってほしいです」
構成: 杉野耕一(S59卒)