新宿末広亭に十数年ぶりに行ってきました。コロナ禍で延期されていた落語の新真打ちの披露興行で、人気講談師の神田伯山さん、落語芸術協会会長の春風亭昇太さんらも出演した日には長い行列ができました。
▼末広亭は9月19日から、席数制限を解除して「100%収容」にしています。定員200席弱の会場は満員で、観客はマスクを付けるものの、出演者は何も付けずに演じて、4時間余り笑いが絶えませんでした。
▼春風亭昇太さんは「衣食住に関わりのない落語なんて、世間で一番必要ないものと覚悟していた。でも戦争中や震災後など、世の中が不安な時ほど笑いを求める人が多い」と話しています。司会を務めるテレビ番組「笑点」では、リモートによる大喜利を試みましたが、「お客さんの前でしゃべることのかけがえのなさを強く感じた」そうです。
▼劇場・ホールも公演が再開され、人が徐々に戻ってきています。まだ座席数が制限され、「ブラボー」などの掛け声は禁止されていますが、その分、コロナ以前に比べて、会場の拍手が大きく、温かく響きます。音楽や笑いの力を信じて、希望を失わずにコロナの収束を待ちたいと思います。