早稲田大学グリークラブ出身の世界的オペラ歌手、岡村喬生さんが1月6日、慢性腎不全のため東京都内の病院で逝去されました。89歳でした。葬儀は近親者のみで行われ、喪主は長男、康生さん。ワセグリにも多大な貢献をしていただいた岡村さんのご冥福を心からお祈りいたします。
1931年東京生まれ。新聞記者を目指して早大政治経済学部に入学しましたが、グリークラブに入部したのをきっかけに声楽の道へ。59年に渡欧し、ローマのサンタ・チェチリア音楽院に留学。トゥールーズ国際声楽コンクールで第1位となり、以後、リンツ、ケルン、キールの各歌劇場をはじめ、ヨーロッパで20年間活躍されました。
79年に帰国してから、クラシックのほか、ミュージカル、テレビ番組にも出演。NPOみんなのオペラを主宰し、オペラの大衆化に努める一方、シューベルトの「冬の旅」公演をライフワークにしていました。
日伊音楽協会会長、日本点字図書館チャリティコンサート音楽監督も務め、99年に文部大臣表彰、02年に早大芸術功労者の表彰を受け、11年には第41回プッチーニ賞を受賞しました。
「歌の旅」歩み続ける~OB・現役と数多くの共演
岡村喬生さん(S29卒)は生涯「歌の旅」を歩み続けるとともに、「芸術は娯楽なり」をモットーに、クラシック音楽にとどまらず、演出家、俳優、執筆など多彩な活動をされてきました。稲門グリークラブをはじめOB、現役とも数多くの共演をしていただきました。岡村さんとともに歌った感動と思い出は多くの人の心に刻まれ、いつまでも消えることはありません。