東京混声合唱団定演~信長貴富氏新作、「土の歌」で感動与える

東京混声合唱団の第264回定期演奏会が2月16日、東京・晴海の第一生命ホールで開催されました。山田和樹先生の指揮、人気ピアニストの福間洸太朗さんのピアノで、「祈り」をテーマに信長貴富氏の委嘱作品、カンタータ「土の歌」などを圧倒的なスケールで歌い上げました。

信長氏の委嘱作品「星の名を知らずにいたい」は、日韓両国の詩人、谷川俊太郎と申庚林(シン・ギョンニム)の対談集がテキスト。別々に登場した二群の合唱が日本語と韓国語に分かれて歌い、やがて重なり、せめぎあいながら共鳴して独特の音響空間を創り上げ、演奏時間が6分とは思えないほど強烈な余韻を残しました。

続いて、同じ信長作品の男声合唱とピアノのための「Fragments-特攻隊戦死者の手記による-」を、卓越した歌唱力と福間さんの鮮烈なピアノで熱唱。ポーランドの女性指揮者バーバラ・ドラガンさんがエルガー「Agnus Dei」、サミュエル・バーバー「Agnus Dei」などを指揮して花を添えました。

最後は混声合唱のためのカンタータ「土の歌」(佐藤眞作曲)。自然の恵みへの感謝、人知の愚かさ、天地の怒り、祈りを福間さんの力強いピアノの響きに乗って歌い継ぎ、最終楽章の「大地讃頌」は命の尊さ、生の喜びを慈しむように歌ってフィナーレを迎えました.各ステージとも、世界中で混沌、紛争が続くなかで希望を見出す感動を与えるものになりました.

東混の「X」から拝借しました

アンコールは福間さんのピアノ独奏でショパンの「小犬のワルツ」、最後は山田先生の指揮でコロナ禍の中で生まれた信長作品「ハミングのためのエチュード」を、聴衆の「ふるさと」のハミングと重ねて演奏し、会場が一体感に包まれて閉幕しました.