早慶交歓演奏会~ピアノ連弾の委嘱作品初演に拍手喝采

第28回早慶交歓演奏会が10月4日、東京・王子の北とぴあさくらホールで開催されました。早稲田大学グリークラブは単独ステージで男声版委嘱初演となる「いつか必ず光は」(作曲:森山至貴)、合同ステージで男声合唱組曲「永久ニ(トコシナニ)」(作詞・作曲:鈴木憲夫)と、いずれもピアノ連弾の大曲に挑みました。

 

早慶交歓演奏会の開催は3年ぶりで、オンステメンバー(プログラム掲載)は早稲田が71人、慶應が59人。エール交歓の後、慶應義塾ワグネル・ソサィエティー男声合唱団が男声合唱組曲「ひたすらな道」(髙田三郎作曲)を、学生指揮者の三代健斗さん(4年)の指揮、永澤友衣さんのピアノで演奏。アンコールには「月下の一群 第1集」より「秋の歌」を歌いました。

続いてワセグリが委嘱初演した「いつか必ず光は」は2023年、元ハンセン病患者の詩人、塔和子の詩に、社会学者・作曲家の森山至貴氏が作曲し、混声合唱組曲として初演されました。当時のハンセン病患者の過酷な運命とそれに抗う心、希望を見いだそうとする姿を描いた作品です。

学生指揮者の米屋陽也さん(4年)の指揮で、ピアノ連弾は混声版の初演を務めた薄木葵氏、ワセグリでお馴染みの渡辺研一郎氏で演奏。「忘却」「欲」「待つ」の3篇の詩による合唱曲を、男声合唱ならではの重厚なハーモニーと圧倒的な声量で、ハンセン病患者の慟哭や葛藤、そして希望への光を鮮やかに描き出しました。演奏終了後、ひときわ大きな拍手と「ブラボー」の連呼が沸き起こり、作曲した森山氏も客席から登壇して、「素晴らしかった。お客様も音楽の中で一体となり、胸がいっぱいになった」と称賛しました。この曲は12月21日(日)の第73回定期演奏会(すみだトリフォニーホール大ホール)でも演奏します。

アンコールは、森山氏が編曲したアニメ「新世紀エヴァンゲリオン」より「残酷な天使のテーゼ」(委嘱初演)を歌って、再び大きな拍手喝采を受けました。

早慶合同ステージの「永久ニ」は、米屋さんの指揮、ピアノは前田勝則、松元博志両氏の連弾で、約130人のメンバーが生命や宇宙をテーマにした曲を、四手ピアノの絶妙な技巧にも乗って、壮大なスケールで歌い上げました。アンコールは、お二人のピアノ連弾で「Ride On King Jesus」を歌いました。

そしてステージストームは「紺碧の空」「若き血」など応援歌で競った後、最後は「遙かな友に」を早慶からソリストを出しながら歌って、締めくくりました。