2月の送別演奏会、5月の東京六大学合唱連盟定期演奏会と、順調に滑り出した2018年度の現役グリー。学生指揮者の田中渉さん(4年)に、今年度のテーマ、活動計画について聞いた。
―今年度のグリーの特徴、テーマは。
「20人余りいた上の代が抜けて、ガンガン行くというより、いい声でしっかりハモって、繊細なハーモニーをつくることに腐心しています」
「今年度のテーマは、ワセグリの幅を広げていくことです。送別演奏会や東京六連で取り上げた新しい曲と、伝統的な曲の両方を組み合わせ、双方とも突き詰めることで、さらにレベルを高めていきたいです」
―送別演奏会、東京六連の手ごたえは。
「送別演奏会のシュローネン男声合唱曲集は、新体制のスタートを飾るとともに、合唱界にも一石を投じられる新しい曲を探していて、昨年夏には構想を固めていました。ラテン語で、多田武彦作品にも通じるオーソドックスな和音が多く、我々にとっても母音や子音の発声を見直すなど、基本に立ち返る良い機会になりました」
「六連は過去2回、台詞付きで舞台劇風のステージが続き、私の代にとって最後の六連は歌で勝負したいと思っていました。スポーツソング・メドレーは、小久保大輔先生に紹介していただいた堀内貴晃先生に編曲をお願いし、私たちで候補曲をリストアップしました。本番では最初から笑いがとれるなど、聴衆の受けは抜群で、演奏していて幸せでした」
―6月24日の東西四大学合唱演奏会ではワセグリが故福永陽一郎先生の編曲・指揮で何度も歌った「岬の墓」を演奏する。
「『岬の墓』は早稲田の曲と言ってもいいほどですが、1988年の東西四連以来、演奏されていませんでした。伝統の曲を久しぶりに歌いたいと、(福永先生の孫にあたる)小久保先生に指揮をお願いしました。15分程度の短い曲の中に、今のワセグリにできることを注ぎ込み、表現力をさらに高めていきたいと思っています」
―12月28日(金)の定期演奏会の目玉は。
「80年定演で委嘱初演した荻久保和明先生作曲の『炎える母』を、38年ぶりに演奏します。難易度の高い曲で、悩みましたが、昨年の定演で荻久保先生に『東海道四谷怪談』を指揮していただいた時に、話が一気に動きました。このほか新たな委嘱初演作品も予定しています」
「今年の定演は年の瀬の平日で、仕事納めとも重なって、集客が少し心配ですが、多くの皆様のご来場をお待ちしています」
構成・杉野耕一(S59卒)