第67回東西四大学合唱演奏会が6月24日、京都市の京都コンサートホール大ホールで開かれ、各校がハイレベルな演奏を披露した。早稲田大学グリークラブは第1ステージで、男声合唱曲「岬の墓」(作詞・堀田善衛、作曲・團伊玖磨)を、小久保大輔氏の指揮、清水新氏のピアノで演奏し、会場から大きな拍手を受けた。
各校のオンステメンバー(プログラムの名簿から集計)は早稲田52人、関西学院70人、慶應43人(1年生含む)、同志社37人。
合同ステージは委嘱初演の「男声合唱とパーカッションとナレーターのためのエスノ・ラップ・ミサ」(作詞・みなづきみのり=伊東恵司、作曲・千原英喜)。ギリシャ神話のイカロスをモチーフにして、「若き芸術家とのダイアローグ」と題した40分を超す意欲作だ。
作詞、指揮の伊東恵司氏による練習は東西で各4回、本番前日の4校合同を加えて異例の回数に及んだ。4校の団員は2コーラスに分かれた初演の大曲を、暗譜でラップもつけて歌い上げ、四連のレベルの高さを改めて示した。
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第67回東西四大学合唱演奏会で、早稲田大学グリークラブが歌った男声合唱曲「岬の墓」は、1988年の第37回東西四連以来、30年ぶりの演奏となった。編曲者の故福永陽一郎先生がワセグリを指揮した過去の演奏に比べて、パワーよりもハーモニーを重視した繊細な表現で、新境地を開いた。
「岬の墓」は75年の東京六連で、福永先生がワセグリのために男声版を編曲し、自らの指揮で初演した。以来、80年六連、83年定演など数多く歌われてきた。
指揮の小久保大輔先生は、混声譜や男声初演版楽譜のほか、過去の演奏も細やかに検討した。福永先生が最後に「岬の墓」を指揮したのが89年の同志社グリークラブの定演で、それは小久保先生にとってたったひとつの「祖父の演奏の記憶」であるという。
それ故に、30年の年月を経て表現する「岬の墓」を追い求めた。そして「過去の演奏にとらわれず、新しい早稲田の『岬の墓』を演奏しよう」と現役に語りかけた。
小久保先生の練習は和音を一つひとつ決めていくことをひたすら繰り返した。かつてのようにトップテノールが張り上げるのではなく、他パートとの和音のバランスに配慮した。曲調は終始ゆったりしたテンポで、終盤のソロはテナー系ではなくセカンドとバリトン……。こうしてワセグリの新しい「岬の墓」が誕生した。
(編集部)
ステージに風景浮かぶ
4年ぶりの京都での四連。東京から遠いにもかかわらず、開演前のロビーには早稲田のOBが沢山の差し入れを持って押し掛けていました。
単独ステージは「岬の墓」。以前から111代で「岬の墓」が人気という話は聞いていたので、納得の選曲。小久保大輔先生のタクトから導かれるハーモニーは、目の前に風景が浮かんでくるかのようにホールを包みました。
ソロの前田直樹君、吉岡和輝君の声も艶があって、とても好感が持てました。
合同ステージは、委嘱初演曲。楽器あり、ナレーターあり、2群ありとチャレンジングな大作。とても迫力ある演奏でしたが、聴いている方は少し疲れちゃったかな。
ステージストーム、ロビーコールでは学指揮の田中渉君が全力で「斎太郎節」を指揮。ステージストームの斎太郎節のソロは橋本哲也君。冷静さと迫力を兼ね備えたソロ。文句なしの出来で演奏会を締めくくりました。
来年は東京で、早稲田が幹事の年。現1~3年生は来年も頑張ってくださいね。
奥村 恒(H29卒)