第68回東西四大学合唱演奏会が6月22日、東京・錦糸町のすみだトリフォニーホール大ホールで開催された。早稲田大学グリークラブは男声合唱とピアノのための組曲「天使のいる構図」(作詩:谷川俊太郎、作曲:松本望)を、清水敬一氏の指揮、小田裕之氏のピアノで演奏し、ほぼ満席の聴衆からひときわ大きな拍手を受けた。
四大学の最後に登場した早稲田グリーは、谷川俊太郎氏の「クレーの天使」の詩から作曲された5曲を、初共演の清水、小田両氏との息もぴったりに、柔らかく重厚なハーモニーで演奏した。
クレー、谷川氏の描く天使は、人間と同じように苦しみ、無邪気に喜び、涙にくれ、悩んでいる。そして、ほとんどは成功者ではなく失敗者のように見える。ワセグリは、そんな天使たちの多様な表情を情感豊かに歌い上げ、会場に多くの天使を舞わせ、人の心にひそむ「天使」と「悪魔」を目覚めさせるような時空間をつくった。
このほか慶應義塾ワグネル・ソサィエティー男声合唱団は、稲門グリークラブがOB四連で歌う「僕の愛 あなたの夢」の編曲・ピアノ伴奏をしていただく森田花央里さんが作曲した合唱組曲「青い小径」の男声版を初演。同志社グリークラブは男声合唱とピアノのための組曲「回風歌」(作詩:木島始、作曲:松本望)、関西学院グリークラブはデュオパの「Messe Solennelle」を、それぞれの持ち味を生かして好演した。
各大学のオンステ人数は、早稲田が2~4年生で52人(単独ステージは48人)。その他は1年生もオンステして、慶應43人、同志社34人、関学56人だった。
合同ステージは、荻久保和明氏作曲の男声合唱組曲「IN TERRA PAX 地に平和を」を荻久保氏自身の指揮、中島剛氏のピアノで、大迫力の声量で演奏した。さらにアンコールは同じ荻久保作品の「季節へのまなざし」の終曲「ゆめみる」というヘビーな選曲を、再び圧倒的なffで歌い上げた。最後のステージストームでは、早稲田は定番の「斎太郎節」を歌って、終演した。