「小指の想い出」「なみだ恋」など数多くのヒット曲を手がけた早稲田大学グリークラブ出身の作曲家、鈴木淳さん(S31卒、本名・藤田順二郎)を偲ぶ会が6月17日、東京・芝公園の東京プリンスホテル鳳凰の間で開かれました。ワセグリOB会から鈴木さんと同期の山本健二さん(S31卒)、合唱団「倶楽部グリー」が出席し、鈴木夫妻が作詞作曲した「友」、ワセグリで生まれた「遙かな友に」を歌って、別れを惜しみました。
偲ぶ会は数百人の参列者が鈴木さんの遺影が飾られた祭壇に献花した後、フリーアナウンサーの徳光和夫さんの司会で開会。実行委員長の弦哲也・日本作曲家協会会長があいさつし、いではく稲門歌謡会代表の音頭で献杯しました。
このあと、山本健二さんが、鈴木さんが亡くなる前日に電話で話したことなどの思い出話を披露。鈴木さんと夫人で作詞家の悠木圭子さんがワセグリ同期のために作った「友」を、半田規子さんのピアノ伴奏で独唱し、会場から大きな拍手が起こりました。
そして歌手の八代亜紀さんが登壇し、「先生は八代亜紀の生みの親です。天国でも見守っていてください。先生にヒット曲をたくさんいただきました。死ぬまで、八代亜紀、頑張ります。本当に先生、ありがとうございました」とあいさつ。鈴木夫妻の作詞作曲で出世曲となった「なみだ恋」を歌いました。
続いて鈴木さんの指導を受けた田川寿美さんら7人の歌手が鈴木さんとの思い出を語りました。さらにサプライズ・ゲストとして、俳優の水谷豊さんが登場し、鈴木さんのもとで歌を学んだ青春時代を振り返りました。
最後に施主の悠木さんが「鈴木本人も今日の日を待ち望んでいて、喜んでくれていると思います。どうぞ皆さま、鈴木淳のことを忘れないで、時々思い出してやってください」とあいさつしました。そして、倶楽部グリーが祭壇の前で「遙かな友に」を合唱し、温かい拍手の中で閉会しました。
鈴木淳さんは山口県防府市出身。早稲田大卒業後、音楽之友社の編集者や高校教諭を経て、作曲家に。1967年に伊東ゆかりさんが歌って大ヒットした「小指の想い出」をはじめ、八代亜紀さんの「なみだ恋」、小川知子さんの「初恋のひと」、黒木憲さんの「霧にむせぶ夜」、ちあきなおみさんの「四つのお願い」、安倍律子さんの「愛のきずな」などを手がけました。2000~04年に日本作曲家協会の理事長を務め、05年に旭日小綬章を受章。21年12月9日、虚血性心不全のため87歳で逝去されました。