最近、ワセグリ100年~110年史を編集していることもあって、DVDやYoutubeで現役の過去の演奏を積極的に視聴しているが、山田和樹氏指揮「季節へのまなざし」、荻久保和昭氏自身の指揮による「縄文ラプソディ」などは強く印象に残る名演だった。ところが今日のOBメンバーズによる「季節へのまなざし」は異次元の演奏だった。オンステメンバーは昭和45年卒から平成29年卒までの59名。学指揮・パトリ経験者が殆どで凄い声と高い音楽性の持ち主揃い。ベースの鳴りの凄さは驚異的だったし、ベースパートのffユニゾンの迫力に圧倒された。高音ffを誰一人ファルセットに逃げない強力トップ、顔ぶれを見れば当然だが。さらに各ソリストの声と表現力…、久しぶりに凄い男声合唱を聴いた。この作品の価値・奥の深さを存分に味わった。かつて混声の名演を聴いたことがあるが、今日の演奏を聴いた聴衆はこの作品の真骨頂は男声だと強く感じたに違いない。プログラムに、荻久保氏との「切っても切れない関係」を強調していたが、同氏自身による男声版の指揮は今回が初めて。メンバーの熱い思いに応えた入魂の指揮だった。
この快演は、出演者の年代が違っても同じワセグリの遺伝子を持つ連帯感の強さがなし得たものだと強く感じた。嬉しかった。働き盛りの年代、荻久保氏を引っ張り出したことも凄いが、よく時間を割きながらここまで仕上げたこと、素晴らしい感動を与えてくれたことに、先輩として心から賛辞と感謝の意を表したい。アンコールで荻久保氏自身が振った「IN TERA PAX」終曲に、私は感動の極みに達した。
他に伊藤直久君(S62卒)指揮「父のいる庭」(多田武彦)、佐久間宰士君(S63卒)指揮「Nanie」(ブラームス)を演奏。「季節へのまなざし」の下振りは川元啓司君が担当したようで、終演後荻久保氏から握手を受けていた(写真)。とにかくワセグリには凄いメンバーが揃っている。(徳)
(4月16日・渋谷さくらホール)
(4月16日・渋谷さくらホール)