OB会会長10年、後進育てた福井忠雄さん逝く

早稲田大学グリークラブOB会会長、稲門グリークラブ・シニア会会長などを歴任した福井忠雄さん(S29卒)が5月28日午前1時23分、東京都文京区湯島の自宅で亡くなられました。87歳でした。自動車整備会社を経営しながら、グリーOB会会長を10年務めるなどOB会の発展と後進の育成に貢献されました。通夜・告別式は6月5、6日、東京・西浅草の東本願寺慈光殿で営まれ、延べ約600人が参列して、故人との別れを惜しみました。戒名は「歌福院釋忠導居士」。まさに歌に生き、仕事に生きた生涯でした。

福井さんは1930年東京生まれ。都立戸山高校を卒業後、50年に早稲田大学政治経済学部経済学科に入学。グリークラブではセカンドテノールのパートリーダーを務めるなど、同期の岡村喬生さん(オペラ歌手)らとともに活躍されました。
大学4年の53年、父親の急死で家業の自転車販売修理会社の社長に就任しました。その後、時代を先読みし、自動車分解整備業の認証を受けて、63年に現在の「福井自動車」に社名変更。事業を拡大しながら、東京都自動車整備振興会の会長も務めるなど、業界団体の活動にも尽力しました。93年に運輸大臣表彰、97年に藍綬褒章を受けました。

忙しい社業をこなしながら、稲グリの草創期から参加して多くの役職を歴任。練習や会議に自宅を開放して活動を支えていただきました。OB会の会長を86~90年と2001~05年の計10年間務め、稲グリ・シニア会の設立にも貢献されました。ワセグリ創立100周年にあたる07年には日本経済新聞文化面に「遥かな友と歌声高らか」を寄稿されました。