第25回東西四大学OB合唱連盟演奏会が9月15日、すみだトリフォニーホール大ホールで開催されました。早稲田大学グリークラブOBで構成する稲門グリークラブは、男声合唱組曲「水のいのち」(作詩:高野喜久雄 作曲:髙田三郎)を、小林研一郎先生の指揮、大室晃子先生のピアノで演奏。小林先生の指揮に導かれて、143人のメンバーが水の円環的一生になぞらえた人間のひたむきな魂を圧倒的なスケールで歌い上げ、聴衆から盛大な拍手喝采を受けました。
OB四連は午後2時に開演し、最初のエール交歓で、稲門グリークラブは中川暁登さん(H27卒)の指揮で、早稲田大学校歌を力強く歌いました。
4団体の最後となった稲門グリーのステージは、小林先生の登場から大きな拍手。「雨」からおごそかに歌い出し、先生はffからppまでダイナミズムを自在に操り、時折“ため”をつくって、「水たまり」の苦悩、「川」の焦燥と悲哀、「海」に至って、すべてを受容しながら昇華していく過程を鮮やかに映し出しました。そして「海よ」では、しばし静寂をつくった後、<のぼれ のぼれ のぼりゆけ>のドラマティックなフィナーレへ。最後には先生は指揮台を降り、メンバーの側に歩み寄りながら指揮をして演奏を終えました。終了後、会場からひときわ大きい拍手と、「ブラボー!」の連呼が沸き起こりました。
合同演奏は、佐藤拓さん(H15卒)の指揮で「男たちの民謡マスターピース」。男声合唱で愛唱されている仕事唄、子守唄、民俗芸能の3曲を、約340人の大人数で演奏しました。「たいしめ(鯛締)」(三木稔作曲)は、新井康之さん(S61卒)のソロで始まり、力仕事の掛け声を重厚なハーモニーにして、海の男たちの剛健さを描きました。「五木の子守唄」(福永陽一郎編曲)は一転、哀しみをたたえた民謡をテノールソロやオクターブ・ユニゾンのpppでしっとりと締めくくりました。最後の「引き念佛」(間宮芳生作曲)は、念仏やお囃子の入った旋律を躍動感あふれるテンポと怒濤のような声量で歌い上げました。アンコールには「酒頌」(上田真樹作曲)を歌って、閉幕しました。
OB四連の東京開催は、新型コロナウイルス禍や大阪・関西万博に伴う開催地順序変更があって、2017年の第21回演奏会以来8年ぶり。稲門グリークラブは現役生11人も含めて最多の143人がオンステ。他団体(プログラム掲載)は、新月会(関西学院)106人、慶應義塾ワグネル・ソサィエティーOB合唱団95人、クローバークラブ(同志社)100人で、総勢約440人が出演しました。チケットは前日までに完売となり、会場を埋め尽くした聴衆からは、各ステージに温かい拍手が送られました。
◇第25回東西四大学OB合唱連盟演奏会
エール交歓
1.新月会(関西学院)
男声合唱組曲「雪明りの路」
作詩:伊藤整 作曲:多田武彦
指揮:広瀬康夫
2.慶應義塾ワグネル・ソサィエティーOB合唱団
サミュエル・バーバー歌曲集【改訂版初演】
編曲・指揮:佐藤正浩 ピアノ:前田勝則
3.クローバークラブ(同志社)
男声合唱とピアノのための「帆を上げよ、高く」
作詞:みなづきみのり 作曲:信長貴富
指揮:伊東恵司 ピアノ:水戸見弥子
4.稲門グリークラブ(早稲田)
男声合唱組曲「水のいのち」
作詩:高野喜久雄 作曲:髙田三郎
指揮:小林研一郎 ピアノ:大室晃子
5.合同演奏
男たちの民謡マスターピース
たいしめ(鯛締)~「合唱による風土記~阿波」(三木稔作曲)より
五木の子守唄(熊本県民謡、編曲:福永陽一郎)
引き念佛~「合唱によるコンポジションⅢ」(間宮芳生作曲)より
指揮:佐藤 拓