響き石(207号)

 

ふるさとの山に向ひて 言ふことなし
ふるさとの山はありがたきかな
かにかくに 渋民村は 恋しかり
▼石川啄木は歌集「一握の砂」で、故郷の岩手県渋民村(現在の盛岡市)への望郷の念を詠んでいます。啄木が代用教員を免職されて「石をもて追はるるごとく」村を出たのは1907年(明治40年)。奇しくもワセグリ創立の年です。以後、啄木は北海道、東京と漂泊し、故郷に戻らないまま26年の生涯を閉じます。
▼2007年、啄木は100年ぶりに〝帰郷〟を果たします。「千の風になって」で知られる作家で作詞作曲家の新井満さんが、啄木の短歌から「ふるさとの山に向ひて」を作曲し、故郷の渋民小学校の児童によって歌われたのです。この歌は今、岩手県のみならず広く親しまれています。
▼同じ07年から始まったオールワセグリフェスティバル(AWF)。3回目の今回も、多くの人が国内外から駆けつけてくれました。ワセグリを心のふるさとと思い続けてくれているからでしょう。AWFに続き、来年1月8日には毎年恒例のオールワセグリ会を開きます。また多くの皆さんの帰郷をお待ちしています。