【音楽リレー評論】コンクール出場一区切り~初心に帰って男声合唱切り拓く

山脇 卓也(H10卒、合唱指揮者)

合唱団お江戸コラリアーずは、昨年11月に開催された合唱コンクール全国大会に参加しました。1999年からコンクールに挑戦し、2009年に初めて全国大会にコマを進め、以来11年連続で出場してきましたが、今回を区切りとしていったんコンクールへの参加をお休みすることにしました。

山脇さんが指揮をしている合唱団お江戸コラリアーず=同団のサイトから拝借しました

コンクールはやはり賞がありますので、結果を求めていないというとウソになりますが、それ以上の活動を目指して、特に選曲にはこだわってきました。
▽委嘱初演作品=09年「ラグビイ」、11年「Sämann ー種を蒔く人ー」、16年「Credo」
▽あまり演奏されていなかった作品の紹介=10年「くちびるに歌を」、14年「Freude soll in deinen Werken sein!」、15年「飛ぶものへの打電」、18年「縄文土偶」
▽名曲への挑戦=12年「バトンタッチのうた」
などです。
このような活動を評価していただいてか、委嘱作品はもちろん、我々の演奏をきっかけに「起点」「縄文土偶」など未出版作品が出版されたり、「くちびるに歌を」が愛唱されるようになったり、という嬉しいこともあり、少しは男声合唱の普及に貢献できたのではないかと感じています。
今でこそ80人を超えるメンバーで充実した演奏活動を行っていますが、コンクール参加当初は支部大会銀賞止まり、ある年は11団体中10位という結果まで落ち込んだことも。このまま合唱団の活動を維持するのも難しいか…となった時もありました。そんな中「続けよう、諦めずに頑張ろう」と言ってくれたメンバーがいたことは幸せでした。結果が出ないコンクールの後の酒ほどマズイものはありません。どうやったら金賞に届くのか、全国大会に行けるのか、何度もマズイ酒を飲みながら様々な試行錯誤をメンバーとともに重ねた時間は、今の自分にとってこれ以上ない宝物になっています。
一つの合唱活動を20年続け、コンクールなどで多くの方に聴いていただき、ようやく2000人クラスのホールで演奏会ができるようになりました(この環境が学生時代に当たり前のように用意されていたというのは凄いことだと改めて思います)。
コンクールの活動を一区切りし、ある意味、学生時代の初心に帰って新たな男声合唱の世界を切り拓く活動を続けたいと思います。実はすでに新作の委嘱を3つお願いしています。他団体とのジョイント企画も進行中で、より一層充実した音楽を目指して活動してまいります。
〈おえコラの今年の演奏会は8月10日(祝)にウェスタ川越で開催予定〉