響き石(218号)

「新しい生活様式」。新型コロナウイルスの感染拡大は、私たちの生活常識を塗り替えようとしています。非接触やソーシャル・ディスタンス(社会的距離)、テレワーク(在宅勤務)が推奨され、人が集まって語り合うことが、罪悪視されるようになってきました。
▼歴史を振り返っても、感染症が流行した後、世界は大きく変容しました。でも日本の対応はどうもちぐはぐです。感染拡大が収まらないなか、アクセルとブレーキを同時に踏むような不可解な政策が目立ちます。
▼オフィス街に人が徐々に戻り、小中高生も学校に通い始めたのに、大学生だけ自粛が続いています。せっかく入学しても、キャンパスに行けず、友達が一人もできない学生が数多くいます。「Go Toトラベル」も、旅行に行っていいのやら悪いのやら。結局、どうなっても誰も責任を取らず「自己責任」になるという帰結が待っています。
▼コロナが収束する過程で、正常化するのは音楽、特に合唱が一番最後になりそうです。コロナ後の闘いは社会的距離でも、オンラインでもありません。自粛と萎縮を超えた人間的なつながりを取り戻すオフラインの闘いになるはずです。