【応援席】久田菜美さん~私の男声合唱の原点、歴史繋がる素晴らしさ

ワセグリさんとの出会いは2011年でした。当時私は東京音楽大学の作曲科の学生で、その時の学生指揮者の東松寛之さんと高校時代の合唱部の同級生だったご縁から、11年の東京六大学合唱連盟の単独ステージに呼んで頂きました。

久田菜美さん

高校の合唱部は混声だったので、約100人もの分厚い男声合唱を聴いたのは初めてでした。混声だと音域が広い分、声部同士の音の間隔が広がりますが、男声合唱は低い音域に密集しているので、綺麗にハモった時にはまるで女声の音も聴こえるかのような倍音が鳴ります。それを初めて体感した感動は忘れません。今、私はミュージカルの世界にいますが、ミュージカルはマイクを使うため豊かな倍音が鳴ることはありません。なので、私にとってワセグリさんの男声合唱は〝唯一無二〟なものです。
11年、12年と何度か出演させて頂き、少し空いて16年にまた六連に呼んで頂きました。「30分のミュージカルを作りたいです」との依頼を受け、作ったのが「負け犬戦隊ルーザーズ」でした(YouTubeに上がってますので、是非ご覧下さい)。私が好きな男声合唱と、生業のミュージカルを融合した作品を作れたことは今でも誇りに思います。


そして20年、「ルーザーズを見て感動し、是非ピアノをお願いしたいです」と依頼して下さいました。この時の現役生にとって16年の作品はまだ入学前のものです。昔の公演を見てもらえて感動を届けられたこと、そしてワセグリさんの歴史が続いてきた素晴らしさを感じ、嬉しく思いました。ところが、コロナのまん延によって公演は叶わず…。学生生活は一生ものです。当時の現役生の気持ちを考えると心が痛みます。
ワセグリさんの公演は観客としても何度も行かせて頂いていますが、幅広い世代のOBの方々がいらっしゃり、こうして支えられてるんだなぁと実感します。
そして、この「応援席」もその繋がりや歴史の一部だと思います。改めて私自身のワセグリさんとの思い出を振り返る機会を頂きましたが、ちょうど10年経っていました。こうやってご縁が続けられることに感謝です。これからもワセグリさんらしい熱い男声合唱と歴史が続きますように。
(東京都世田谷区出身)