コバケンが振る稲門グリー演奏会 ~「炎の指揮」で136人が熱唱

早稲田大学グリークラブOB会創立70周年を記念した「コバケンが振る 稲門グリークラブ演奏会vol.2」が3月12日、東京・赤坂のサントリーホール大ホールで開催されました。「炎のマエストロ」と呼ばれる小林研一郎先生の指揮で、20~90歳代の136人のメンバーが熱唱し、満員の会場から大きな拍手を受けました。

小林先生のステージリハーサル

第1ステージは男声合唱組曲「月光とピエロ」(堀口大學作詩、清水脩作曲)。小林先生は古典的な名曲に、一部箇所を少人数合唱に変えるなどの独自の解釈を加え、ピエロの陰影と悲哀を際立たせました。

第2ステージは「さすらう若人の歌」(G.マーラー作詞・作曲)。小林先生は演奏に先立ち、曲の聴きどころを解説。「ベートーベンが苦悩を超えて歓喜になるのに対し、マーラーには苦悩について独特の“行間の宇宙”があります」と語って、指揮台に上がりました。演奏では大室晃子先生のピアノにも導かれて、若者の苦悩や激情、寂寥、やがて光になる過程を鮮やかに描き出しました。小林先生は本番直前のステージリハーサルまで試行錯誤を重ね、メンバーもそれに応えて高い集中力で凝縮されたハーモニーを聴かせました。

午後1時半、パイプオルゴールの開場の合図で入場する聴衆

休憩をはさんで、第3ステージの男声合唱組曲「水のいのち」(高野喜久夫作詩、髙田三郎作曲)は、雨、水たまり、川、海といった水の移ろいにみられる「ひたすらな魂の姿」を圧倒的なスケールで歌い上げました。演奏を終えると、ひときわ大きな拍手と「ブラボー!」の連呼が起こりました。

小林先生「大きな力をいただいた。幸せでした」

このあと小林先生は「(グリーの)皆さまの大きな、大きな力をいただきました。練習をしていても、心の奥底をチラリと、時には大きく見せながら、ひたむきに一心不乱に物事にチャレンジする姿勢が非常に感動的でした。今日は皆さまの大きなオーラを見ることができ、幸せでした」とあいさつ。「グリーの諸君の演奏会は何年か後に聴けるかもしれませんが、今日おそらく私は最後だと思うのですが…」と話すと、会場から笑いが起きました。オンステメンバーとともに聴衆に一礼して退場する際、再び大きな拍手が沸き起こりました。

最後にアンコールとして、笹原優樹さん(S59卒)の指揮で早稲田大学校歌、川元啓司さん(S56卒)の指揮、佐藤拓さん(H15卒)のソロで「遙かな友に」を歌って終演しました。

アンコールのステージリハーサル

次は7月30日(日)のOB四連

次の舞台は7月30日(日)の第24回東西四大学OB合唱連盟演奏会(兵庫県立芸術文化センター KOBELCO大ホール)。同じ小林先生の指揮、大室先生のピアノで「さすらう若人の歌」を演奏します。ご期待ください。