【コバケン演奏会を聴いて】期待を超える感動、ワセグリOBで良かった!

仁科正夫(S56卒)

今、演奏会パンフに綴られた文章を堪能しながら、コバケンコンサートの贅沢な余韻にまだ浸っている。
あの日、お叱りを覚悟で申し上げれば、半ば同窓会感覚でホールへ向かった。かつて時間と情熱をかけて取り組んだ楽曲が、あの時のように自分の心を震わせることはないと思っていたからだ。だが、ステージに役者が揃ってから、何かが変わった。全ての客席が期待し、息を潜めてその瞬間を待っている。

演奏会当日のステージリハーサル

音取りから迸る緊張感。タクトが動いた。ホールが彩られる。知っているはずなのに、初めて出会う「ピエロ」だ。ppの緊張から解き放たれた深い和音が、高いホールの天井へ向かう。隣席の客の目線も、上に漂うものを追っていた。
マーラーの曲解説がされると、周囲の方々がパンフを開き、うなずきながら確認している。会場も心の準備が整った。そこへ期待を超える、素晴らしい音楽が注ぎ込まれる。感動で息も継げない中、「二つの青い眼が…」を聴いた。
「水のいのち」には心を大きく揺さぶられた。初めてだ。いろいろな思いが駆け巡り、来し方を思い、何かが流れた。
大好きな校歌の2番を、心で歌うつもりが少し声が漏れたことは素直に反省したい。ワセグリのOBで良かった。聴衆として参加できて幸せだった。準備された全ての方々に、心からの感謝を捧げたい。