【音楽リレー評論】激減する合唱人口~狭まる裾野、部活の地域移行も影響

山脇 卓也(H10卒、合唱指揮者)

コロナ禍も4年目に突入しようとしていますが、いまだに終息が見えません。人々の行動が戻るのはいつになるやら。とはいえ、合唱イベントはほぼ戻ってきています。ステージ上でマスク姿を見かける機会はほとんどありませんし、私の合唱団では練習場所が許せば、マスクをせずに練習をしています。ワセグリOB会の3月の記念演奏会も多くの方が参加されており、素晴らしいことだと思いました。
コロナ期を経て、全国的な合唱人口という視点で見るとほぼ半減しているという数字が出ています。社会生活基本調査(総務省統計局)の2016年と21年の比較です(323万人→186万人)。私の実感もその通りだと感じます。

昨年11月に行われた合唱コンクール全国大会の大学ユース部門を見ていて、正直そのレベルの高さにびっくりしました。ほとんどの合唱団が人数を減らしていましたが、クオリティーは上がっている。その理由の一つには、大学から合唱を始める層が激減していることが挙げられます。「大学から始める層」と書きましたが、実は中学・高校も同様です。つまり、合唱はその裾野を大幅に狭めている、というのが現状です。
加えて、中学高校では部活動の地域移行という荒波が始まろうとしています。学校から部活動が切り離され、学校の先生方の頑張りに依存していた部活動がどのように変わっていくのか。その中で合唱は果たして生き残っていけるのか、活動を継続できる合唱団がどれほど残っていけるのか、まさに正念場を迎えていると感じています。
今年度、同志社グリークラブOBの伊東恵司さんとともに、全日本合唱連盟で大学合唱団支援プロジェクトを始めました。まずは2年途絶えたところも多い定期演奏会の運営について、そして団体運営の要であるお金の管理についての講習会を開きました。のべ150名の参加があり、多くの大学生に興味を持ってもらうことができました。3月には新歓と練習の進め方についてのセミナーを予定しています。これらはアーカイブ化して、引き継ぎの難しくなっている合唱団の団体運営に使ってもらおうと考えています。合唱連盟も大学合唱文化を守るプロジェクトを進めています。OBの皆様にも、ぜひご支援をお願いいたします

(詳細はhttps://jcanet.or.jp/Public/daigaku-seminar.htm)。
とにもかくにも、人が戻らないと合唱団というのはなくなってしまいます。大学合唱で新歓が大事なのは周知の事実ですが、早稲田大学は残念なことに3年連続対面での新歓ができていません。我々がどのようにグリーと出会ったか、少し回顧していただくだけで事の重大さがわかるのではないでしょうか。入学式の校歌斉唱はグリークラブの精鋭が4名登壇して素晴らしい歌を披露しましたが、グリーの魅力を伝える機会とはなっていません。今春には、なんとしても通常通りの入学式、そして対面での新歓を取り戻さなければならない、と思っています。
ちなみに、部活動の地域移行をする小中学校などで外部指導員を募集しているところもあるかもしれません。地域にいる我々合唱経験者が関わることで活性化できる道もあるかもしれません。明日の合唱文化のために、お力添えをいただければと思います。