【現役四連】ワセグリ、三宅悠太作品を熱唱

第72回東西四大学合唱演奏会が6月24日、東京・池袋の東京芸術劇場コンサートホールで開催されました。新型コロナウイルス禍による2020年、21年の中止を経て、4年ぶりの東京開催となった四連で、早稲田大学グリークラブは「三宅悠太男声合唱作品ステージ」を、作曲者の三宅氏自身の指揮、渡辺研一郎氏のピアノで演奏。男声版の委嘱初演を含む三宅作品3曲を、30人余りのメンバー(1年生含む)が情感豊かに歌い上げました。

ワセグリが演奏した「なみだきらめく」(詩:比留間美代子)、「帰郷」(詩:谷川俊太郎)、「ひとめぐり」(詩:覚和歌子)の3曲は、いずれも教育芸術社が毎年開催する「スプリングセミナー」で混声版として委嘱初演され、生と死をテーマにしています。今回、「なみだきらめく」「ひとめぐり」が男声版としての初演となりました。

合同演奏は、ワセグリが2011年の定期演奏会で委嘱初演した男声合唱組曲「終わりのない歌」(作詞:銀色夏生、作曲:上田真樹)。初演指揮者の高谷光信氏の指揮、渡辺研一郎氏のピアノで、青春の甘酸っぱさ、ほろ苦さを約140人が重厚なハーモニーで歌いました。アンコールは「若き日は燃えて」(作曲:上田真樹)と「響け、彼方へ」(作曲:信長貴富)。恒例のステージストームでは、早稲田は十八番の「斎太郎節」を歌い、ひときわ大きな拍手を受けて、終演しました。

コロナ禍による各団のメンバー減少はなお深刻です。演奏会のパンフレットによると、各団のオンステメンバーは早稲田35人(うち1年生3人)、慶應56人(同26人)、関西学院34人(同9人)、同志社26人(同9人)。それでも各団とも人数の少なさ、1年生も含めた練習時間の少なさを感じさせない見事な演奏を披露してくれました。

単独ステージでは、実際のオンステ人数が最少の21人ながら、踊り・振付入りで会場を沸かせた関学の「バーバーショップ」、声量豊かで柔らかいハーモニーを聴かせた慶應の「雪明りの路」(作曲:多田武彦)、東欧の魂の音楽に挑んだ同志社の「東ヨーロッパ男声合唱曲集」……。四大学の伝統の底力と合唱再興の希望を感じさせる演奏会となりました。