ワセグリの現役・OBがお世話になった世界的指揮者の山田和樹先生が6月、首席指揮者に就任した英国・バーミンガム市交響楽団の日本ツアーを行いました。バーミンガム市響との日本ツアーは2016年以来、7年ぶり。ソリストに15年のショパン国際ピアノコンクールで優勝したチョ・ソンジン(ピアノ)、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団第1コンサートマスターの樫本大進(バイオリン)を迎え、メインプログラムのラフマニノフの交響曲第2番、エルガーの交響曲第1番など、パワフルな英国のオーケストラの魅力を引き出して快演し、喝采を浴びました。
6月29日のサントリーホールでの公演を聴きに行きました。ショパンのピアノ協奏曲第2番は、作曲当時に恋に悩んでいたショパンのロマンティックで情熱的な旋律を鮮やかに描き出しました。チョ・ソンジンの流麗さとダイナミックさを兼ね備えたピアノと、オーケストラが見事に溶け合いました。
エルガーの交響曲第1番は、英国の誇り高さ、大英帝国時代にまで遡るような歴史の重みを感じさせる大曲です。荘厳でノスタルジックな主題を、山田先生はダイナミックな指揮でオケを大いに鳴らし、華やかなフィナーレを迎えました。
終演後、「ブラボー!」の連呼と拍手が長く続き、楽団員も床を踏み鳴らして山田先生を讃えました。アンコールのウォルトン:映画「スピットファイア」前奏曲では、山田先生は途中から指揮台を降りてオケに混じって振り続けるなど、早くも“蜜月”ぶりをアピールしました。
山田先生は2012年にバーミンガム市響と初めて共演し、昨年7月には同市響を率いて、世界有数のクラシック音楽の祭典「BBCプロムス」にデビューしました。そして今年4月、バーミンガム市響の首席指揮者兼アーティスティックアドバイザーに就任。4月27日にバーミンガム・シンフォニーホールで就任披露公演が行われ、オーケストラや300人を超える合唱団と、オルフ「カルミナ・ブラーナ」などを演奏しました。
山田先生のさらなるご活躍を祈りたいと思います。
《バーミンガム市響の日本ツアー》
6月23日:熊本県立劇場、24日:兵庫県立芸術文化センター、25日:横浜みなとみらいホール、27日:石川県立音楽堂、28日:文京シビックホール、29・30日:サントリーホール、7月1日:愛知県立芸術劇場