東京稲門グリークラブは2月4日、第10回定期演奏会をタワーホール船堀大ホールで開催しました。佐藤拓さん(H15卒)の指揮、佐藤美佳さんのピアノで、22人のメンバーがそれぞれ重ねた年輪を歌に投影しながら、人生の哀歓を歌い上げました。
今回の定演は「男の一生~かつての青年はいまだに荒野をめざす」と題し、第1ステージは「少年時代」として男声合唱組曲「子供の詩」(南安雄作曲)を、フレーベル少年合唱団の少年2人のナレーション付きで演奏。第2ステージは「青年期」として、「深き淵より」「鹿のように」「大地の美しさゆえに」の宗教音楽を歌いました。
「壮年期」の第3ステージは男声合唱組曲「わきめもふらず。ジグザグに。」(信長貴富作曲)。戦後の日本未来派の詩人、及川均の「焼酎詩集」の詩から、生きることのほろ苦さ、喜びを描いた曲です。2021年に小田原男声合唱団により委嘱初演されました。
酔っぱらいの千鳥足を描きながら、「生きることの徒労」「不如意不随意」を嘆き、やがて歯止めがきかなくなる猛進を歌った後、般若心経の念仏、アンニュイなブルースやワルツ…。終曲は酩酊からの「夜明け」と「杯」をたたえ、ありきたりの人生の尊さを高らかに歌い上げてクライマックスを迎えました。東京稲グリの持ち味を存分に生かした演奏に、客席からひときわ大きな拍手が送られました。
そして第4ステージは「そして今 まだまだ死なんぞ」と銘打ち、メンバーが思い思いの服装で登壇。「酒頌」から始まり、「舟唄~兄弟船」「海、その愛」「吹雪の街を」「糸」と歌い継ぎ、最後はミュージカル「ラ・マンチャの男」より「見果てぬ夢」を演奏してフィナーレ。アンコールには「遙かな友に」を会場の聴衆とともに歌って閉幕しました。