2021年1月に逝去したワセグリ出身のオペラ歌手、岡村喬生さん(S29卒)のメモリアルコンサートが5月20、21の両日、東京・西国分寺の「りとるぷれいミュージック」で開催されました。岡村さんと交流のあった声楽家や音楽家らが集まり、岡村さんの業績を振り返りながら、名曲の数々を演奏しました。
メモリアルコンサートは「不世出のバス歌手へのオマージュ」と題して、ソプラノ:二宮咲子、テノール:勝又晃、クラリネット:岡田渉、ピアノ:半田規子、MC・朗読:千葉有卯助、構成・演出:村野玲子で構成。岡村さんが遺したエッセイを朗読して、その人生を紡ぎながら、曲を演奏する形式で進行しました。ワセグリ時代の思い出ではエッセイの「自由の天国、早大時代」「バンカラ学生、変身す」が朗読され、ジョルダーニの「カロ・ミオ・ベン」、ヴェルディの歌劇《アイーダ》から「清きアイーダ」、岡村さんがライフワークにしていたシューベルトの《冬の旅》より「菩提樹」などが演奏されました。
後半では2001年に設立した「NPOみんなのオペラ」の活動が紹介され、オペラの大衆化に向けて創作したモノオペラ「人情歌物語 松とお秋」(原作:山本周五郎、作曲:大中恩)より「お秋」を、舞台俳優の都築香弥子さんが迫真の演技を交えながら朗読。日本に対する無知や誤解に基づく演出・歌詞を修正したプッチーニの歌劇《蝶々夫人》の改訂版より「蝶々夫人とピンカートン愛の二重唱」「ある晴れた日に」を、2人の歌手が豊かな声量で歌い上げ、約50人の聴衆から大きな拍手を受けました。
最後に朗読はNHK番組「あの人に会いたい」から、岡村さんの「挑戦に勝る結果はない」との言葉で締めくくられました。