響き石(226号)

新型コロナウイルスの第7波が到来して感染者が急増し、世界的な物価上昇、揚げ句には元首相への凶弾と世の中に不安や先行き不透明感が強まっています。
▼コロナ禍で中止されていたOB六連が4年ぶり、現役の六連、四連も3年ぶりに開催されました。ようやく復活した合唱演奏会も、感染の再拡大により、「また行動制限がかかるのではないか」と気をもんでいる人も多いことと思います。
▼スペイン風邪が世界的に流行した1918年(大正7年)、人びとの心を慰めたのが童謡でした。この年、児童雑誌「赤い鳥」が創刊され、「かなりや」(西條八十)、「からたちの花」(北原白秋)などの名作が生まれています。スペイン風邪で亡くなった劇作家の島村抱月、後を追った女優の松井須磨子の悲劇は、「カチューシャの唄」を永遠の名曲にしました。
▼この時代に生まれた大正琴も、スペイン風邪で家に長く居る巣ごもり需要から普及したといわれています。まだまだ我慢の日々が続きますが、不安で重苦しい時期にこそ生まれ、心を支えてくれる音楽、歌もあるはずです。我々もまだまだ「唄を忘れたかなりや」になる訳にはいきません。